「PD対応のモバイルバッテリーって、結局どう違うの?」
そう疑問に思った方は多いのではないでしょうか。
PD(Power Delivery)は、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、あらゆるデバイスを“より早く”“より効率的に”充電するための技術です。

では、PDってやつを選べばいいんだね!



しかし、PD対応というだけで「速くなる」と思って購入しても、
「あれ?そんなに早くない?」と感じるケースも意外と多くあります。
私自身も、かつて「とにかく急速充電できるらしい」とだけ信じてPD対応のモバイルバッテリーを買ったことがあります。けれど、ケーブルや端末との相性を知らずに使ってしまい、期待外れの結果に終わった苦い経験がありました。
この記事では、「PDってそもそも何?」という基本から、急速充電に必要な条件、そして製品選びでありがちな落とし穴までを、わかりやすく解説していきます。今からPD製品を選ぼうとしている方も、「なんかイマイチだった」と感じている方も、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- PD(Power Delivery)の仕組みと意味
- 急速充電が本当にできる条件とは?
- PD対応バッテリー選びの注意点
- 自分の用途にPDが必要かどうかの判断基準
※この記事は筆者の考えを中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
「PD(Power Delivery)とは何か?」
PD(Power Delivery)とは何か?
スマートフォンやノートパソコンの充電に「PD対応」と書かれた製品を見かけるようになった昨今。この「PD」とは、いったい何の略で、どんな技術を指すのでしょうか?
PDとは「Power Delivery(パワーデリバリー)」の略称で、USB規格における電力供給の拡張仕様のことを指します。従来のUSB充電では限られた電力しか送れませんでしたが、PDでは最大240W(2025年時点では主に20W〜100W前後が主流)もの電力を供給できるようになりました。
たとえば、スマートフォンを充電するだけなら15W前後でも十分ですが、ノートパソコンを動かすには60W以上の電力が必要になります。このように、PDは機器ごとに最適な電圧と電流を自動でやり取りし、効率よく、かつ安全に充電できることが最大の特徴です。
また、PDは原則として「USB-C」端子に対応しています。MicroUSBやLightningと異なり、USB-Cは上下どちら向きでも挿せるほか、データ通信・映像出力・電力供給を1本でまかなえるという利点もあります。PDとUSB-Cはセットで語られることが多いのは、こうした機能的相性の良さによるものです。
一方で、「PD対応=どんな機器も速く充電できる」と思い込んでしまうと、かえってトラブルのもとになります。実は、PDは“速さ”だけの規格ではありません。対応していないケーブルやアダプターでは、PDの恩恵を受けることができないのです。
そもそも「PD」とは何の略?
PDは「Power Delivery(パワーデリバリー)」の略で、USBの電力供給を拡張するための規格です。従来のUSB充電(USB-AやMicroUSBなど)では最大でも15W程度しか出力できませんでしたが、PDでは100W以上の高出力も可能となり、ノートパソコンまで充電できるレベルに達しました。
USB-Cとの関係性と歴史
PDの普及とともに、USB-C端子が“急速充電の標準ポート”として認識されるようになりました。なぜなら、PDは主にUSB-Cケーブルを通じて動作する仕様だからです。上下の向きを気にせず接続でき、映像・音声・電力を一括で扱えるUSB-Cは、PDの恩恵を最大限に引き出す存在でもあります。
通常の充電との違いとは
通常のUSB充電では、あらかじめ定められた電圧・電流しか流せません。しかしPDでは、充電する機器に応じて最適な電力(電圧×電流)を自動調整し、安全かつ高速にエネルギーを供給できます。この「やり取りのインテリジェントさ」が、PDの最大の強みです。
よくある勘違い(PD=速いは一部正解)
「PD対応ならどれも高速」というのは大きな誤解です。PDとはあくまで“急速充電が可能な仕様”であり、ケーブルや端末、バッテリーなど、すべてがPDに適合していなければ、十分な速度は得られません。
✅ PDは「速い」だけではなく、「賢く安全に電力をやり取りできる」技術です
✅ PDは「急速充電」だけでなく、「安全で最適な電力供給」を可能にする、現代のUSB充電の基盤技術です。
急速充電が可能になる条件とは?
PDに対応している必要がある機器
急速充電を実現するためには、まず**充電される側(スマホやノートPCなど)**がPDに対応していることが前提条件です。PDは規格上、高出力の受け渡しが可能ですが、機器側がその信号を理解できなければ、結局は通常の速度に落ち着いてしまいます。
たとえば、古いスマートフォンや低価格帯の端末では、PDそのものをサポートしていない場合も多く、そのような機器ではPDの恩恵を受けることはできません。
ケーブルと充電器、バッテリーそれぞれの役割
「PDに対応している」とされる機器やバッテリーでも、すべての構成パーツがPD準拠でなければ、期待される急速充電はできません。特に重要なのは以下の3点です:
- 充電器/モバイルバッテリーの出力性能
→ 出力W数が低ければ、急速充電には届きません。 - ケーブルの品質と仕様
→ PDに対応していないUSB-Cケーブルも数多く出回っており、それらでは出力が制限されます。 - 端末の受電仕様
→ 高速充電に必要な電力を受け取れる設計でなければ、速度が制限されます。
電圧と電流の考え方(5V/9V/12Vなど)
PDでは、接続機器に応じて動的に電圧(V)と電流(A)を変化させます。代表的な組み合わせとしては以下のようなものがあります。
- 5V / 3A(=15W)
- 9V / 2A(=18W)
- 12V / 3A(=36W)
- 20V / 3A(=60W)など
この仕組みにより、スマートフォンからノートPCまで、幅広い機器に最適な電力供給が可能となるのです。
W数(ワット数)で見るべき理由
充電器やバッテリーを選ぶ際、**「PD対応」だけでなく「最大出力W数」**を確認することが非常に重要です。たとえば、18Wならスマホ向け、30WならiPadクラス、65W以上であればノートPCにも対応できます。
製品によっては「PD対応」と書かれていても、出力が15W程度に制限されているケースもあります。その場合、たとえPD対応であっても“急速”とは言えない速度しか出せないのです。
✅ 急速充電を実現するには、全てのパーツがPDに適合していることが条件です
PD対応モバイルバッテリーの選び方と注意点
出力W数で選ぶ(18W・30W・65Wなど)
PD対応バッテリーを選ぶ際、もっとも重視すべきなのが出力W(ワット)数です。W数が高ければ高いほど、より大型で電力を必要とする機器にも対応できます。
- 18W〜20W程度:スマートフォン、AirPods、モバイルルーター向け
- 30W前後:iPad、Switch、軽量タブレット向け
- 60〜65W以上:MacBook AirやSurfaceなどのノートパソコン向け
スマホだけを充電するのであれば18Wで十分ですが、将来的にノートPCや複数端末に使う可能性があるなら、30W以上のモデルを視野に入れておくと安心です。
スマホ・タブレット・ノートPCごとの適正W数
「1台のバッテリーで複数端末をカバーしたい」と考える方も多いと思います。しかし、すべての端末が同じ電力で充電されるわけではありません。たとえば:
- スマホは15〜20W
- タブレットは20〜30W
- ノートPCは45〜100W
このように、端末ごとに“求める電力”が大きく異なるため、自分の使いたい機器に応じて適切なW数を見極める必要があります。
PD対応なのに遅い?その原因と対処法
「PD対応のはずなのに全然速くない…」そんなときは以下の点を見直してください:
- ケーブルが非PD対応ではないか?
- 接続機器がPDに対応しているか?
- バッテリーの出力W数が足りているか?
- 設定側で高速充電が無効化されていないか?
とくにUSB-Cケーブルには、見た目は同じでも「高速充電非対応」や「データ専用」のものが紛れているため、購入前に“E-Marker対応”の表記があるかをチェックするのが賢明です。
非対応機器との相性問題とそのリスク
PDは賢い規格ではあるものの、「非PD機器との接続」において思わぬ問題が起きることもあります。たとえば:
- 高電圧出力が誤作動し、端末が熱を持つ
- 相性が悪く、充電が途中で止まる
- 低速モードに自動切替され、充電が異常に遅くなる
このようなリスクを防ぐには、「PD非対応機器に高出力PDバッテリーを接続しない」ように注意しましょう。マルチポート出力モデルを使う場合は、「どのポートがどの出力なのか」をよく確認してから使用するのが鉄則です。
✅ PD対応でも「遅い」ことがあるのは、ケーブル・端末・設定のどれかが非対応な可能性があります
さいごに:PD対応バッテリーは必要か?
自分の用途にPDが必要かどうかを判断する基準
「PD対応」と聞くと、なんとなく“良さそう”に感じてしまいますが、実際に必要かどうかは使い方次第です。以下のような人には、PDバッテリーは特に向いています:
- 外出先でスマホをすぐに充電したい人
- タブレットやSwitchなど、やや大きめのデバイスを使う人
- ノートパソコンをモバイルバッテリーで充電したい人
- 1台のバッテリーで複数の機器をカバーしたい人
逆に、スマホの充電を夜にゆっくり済ませるタイプの人や、特に急ぎの用途がない人にとっては、「PDの急速性」はそれほど必要ではないかもしれません。
PDの進化と今後の主流化予測
USB-CとともにPDは急速に普及し、もはや“急速充電の標準規格”といっても過言ではありません。2025年現在、スマホからノートパソコン、さらにはモバイルディスプレイやカメラ周辺機器にまで、PD対応の波が広がっています。
また、各国でUSB-C端子の義務化が進んでおり、それに伴ってPDもより多くの製品に搭載されていくと予測されます。今後は「PD非対応の方が珍しい」という時代になるかもしれません。
まとめ:PDは誰にとって必要か?
PDはすべての人に必須とは限りませんが、スピードや効率を求める人にとっては間違いなく価値のある技術です。とくに「スマホを1日に何度も充電する」「カフェや外出先でノートPCを使う」「家族や仕事用に複数の端末を持ち歩く」といったライフスタイルの方には、PD対応バッテリーは心強い味方になるでしょう。
✅ PD対応バッテリーは、スマホからノートPCまでを1台で使いたい人には特におすすめです