「なんか、モバイルバッテリーがパンパンに膨らんできたんだけど…これって大丈夫?」
──そう思ってネット検索しているあなた。過去の私もまさに同じ状況でした。
ほんの少し膨らんできただけだからと放置していた結果、最終的には煙が上がり、家族に大きな迷惑をかけてしまったのです。
いま思えば、あの「少しの違和感」がすでに危険信号だったのです。
この記事では、モバイルバッテリーが膨らむ・膨らんできたときに考えられる原因や、それに伴う発火のリスク、そして絶対に知っておくべき対処法について、できるかぎりわかりやすくお伝えしていきます。
私のように「知らなかったから」で後悔する人を減らすために、この記事を届けたいのです。
この記事でわかること
- モバイルバッテリーが膨らむ・膨らんできたときの主な原因
- 発火や爆発のリスクがどれほどあるのか
- 安全に処分・回収する方法と注意点
- ふたたび膨らませないための日常的な予防策
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の製品や選択を推奨・保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが、本記事を参考にされたことによって生じたいかなる不利益・損害に対しても、当方は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

モバイルバッテリーが膨らんでくるのはなぜ?

リチウムイオン電池の構造とガス発生
モバイルバッテリーのほとんどに使われている「リチウムイオン電池」は、エネルギー効率が高く、軽量であることから広く普及しています。
しかし、内部に封入されている電解液は化学反応に敏感で、高温・過充電・物理的損傷などのストレスが加わると、発熱・ガス発生が起きることがあります。
このガスは、外に逃げ場がないためバッテリー内部に溜まり、やがて外装パックが膨張する原因となるのです。これが「膨らんできた」と感じる現象の正体です。
使用状況が引き金になることも
ユーザーの使い方も、バッテリーの膨張に大きく関わっています。たとえば以下のような行為は、膨らむ原因となり得ます。
- 長時間の充電放置(特に寝ている間の充電)
- 真夏の車内に置きっぱなしにする
- 使用中に異常発熱しても使い続ける
- モバイルバッテリーを落下させたり、圧力をかけてしまう
これらの積み重ねが、リチウムイオン電池の劣化を加速させ、最終的に膨張というかたちで表面化するのです。
安価な粗悪品やPSE非対応製品のリスク
また、ネット通販などで流通している極端に安価な製品には要注意です。
PSEマークがない、あるいは不正に表示されている製品の中には、内部保護回路が存在しない、もしくは極めて粗雑な構造のものもあると指摘されています。
このような粗悪品は、たとえ見た目が新品であっても膨らみやすい傾向があり、「正しく使っていたはずなのに突然膨らんできた」といったケースの背景にあることもあります。

膨らんだバッテリーは危険?発火や爆発のリスクとは

爆発の前兆かもしれない膨張現象
バッテリーが膨らんでくる現象は、内部にガスが溜まっているサインであり、構造的な限界が近づいている可能性があると考えられます。
そのまま使用を続ければ、電極同士の短絡や電解液の漏れによって発火・破裂につながるおそれもあります。
ただし、すべての膨張が爆発に直結するわけではなく、リスクの一段階目であると捉えるのが現実的です。

火災事故として報告されるケースも
実際、製品評価技術基盤機構(NITE)などの資料には、「充電中に煙が出た」「爆発音とともに発火した」などの事故が報告されています。
中には住宅火災に至ったケースもあるようで、いずれも前兆としてバッテリーが膨らんでいた可能性が高いとされています。
このような事故は確率としては稀ではあるものの、条件が揃えば十分に起こり得るため、軽視すべきではありません。
「まだ使えるから大丈夫」は非常に危険
多くの人がやってしまいがちな判断が、「膨らんでるけど充電できるから大丈夫」という考え方です。
しかし、実際には外装が変形している時点で、内部の構造にも異常が起きていると推定されます。
見た目に大きな変化がなくても、微細な内部ショートが進行していることもあり、突然の発火・破裂を引き起こすことがあるのです。
したがって、“使えるかどうか”ではなく“安全かどうか”を基準に判断すべきです。
膨らんできた時点で「寿命を迎えた」と考え、すみやかに使用を中止するのが最善です。
膨らんできたときの対処法とやってはいけないこと
使用は即中止し、通電を絶つ
モバイルバッテリーが膨らんできたと気づいたら、まず最優先ですべきことは“使用をやめること”です。
たとえまだ充電ができていたとしても、内部では危険な状態が進行しているかもしれません。
また、スマホや他の機器に接続したままの状態で放置するのも非常に危険です。発熱・発煙・破裂のリスクを少しでも下げるためには、早急にケーブルを外し、充電を停止することが必要です。
自宅での保管場所にも注意が必要
使用を止めた後も、処分するまでの一時的な保管には十分な注意が必要です。
以下のような場所は避けてください。
- 高温多湿な場所(浴室・窓際など)
- 可燃物の近く(カーテン・紙製品の周囲)
- 密閉容器の中(ガスが充満して危険)
理想的には、耐熱性のある金属トレイや容器に入れ、風通しの良い場所で保管するのが安全です。
やってはいけない誤った対処法
ネットや一部SNSでは、以下のような“処置”が紹介されていることがありますが、絶対にやってはいけません。
- 針やハサミで穴をあけてガスを抜こうとする
- 外装を切って中の状態を確認する
- 圧力をかけて「元に戻そう」とする
これらの行為は、内部でショートを引き起こしたり、電解液に引火するリスクがあります。
見た目が変でも、「触らない」が鉄則です。
処分は自治体または家電量販店で
膨らんできたモバイルバッテリーは、「通常の可燃ごみ・不燃ごみ」として捨ててはいけません。
多くの自治体では「小型充電式電池」の分類にあたり、指定の回収方法が設けられています。
また、家電量販店(ヤマダ電機・エディオン・ケーズデンキなど)では、PSEマーク付きの製品であれば無料で引き取ってくれる場合もあります。
安全に処分することは、自身の安全だけでなく、周囲の人やごみ収集現場の人を守る行動でもあるのです。

さいごに:今後膨らませないためにできること
高温・過充電を避ける使い方を心がける
膨らむリスクを減らすには、バッテリーへの負担をできるだけ軽減することが基本です。
特に注意すべきは以下の点です:
- 100%充電のまま長時間放置しない
- 炎天下の車内や、ストーブの近くに置かない
- 使用中に異常な発熱があった場合は即使用を中止する
リチウムイオン電池は温度変化に敏感であるため、日常の置き場所や充電タイミングが寿命や安全性に直結すると考えてください。
PSEマークとメーカー信頼性の確認
製品を購入する段階から、トラブルの可能性を減らすことも大切です。
日本国内では、電気用品安全法により「PSEマーク」の表示が義務付けられています。
しかし、中には偽装されたマークや、海外製の無認可製品も出回っているのが実情です。
可能であれば、以下のようなポイントを確認しましょう:
- 日本国内メーカー、もしくは正規代理店の販売品であるか
- 製品ページに製造元やPSEマークの詳細が明記されているか
- 異常時の対応や保証内容が明確に記載されているか
値段の安さだけで選ばず、信頼性を優先することが、膨らむ事故を防ぐ一番の近道になります。
「膨らんできたら寿命」と思って使う
バッテリーが少しでも変形したとき、「もう少し使えるだろう」と考えたくなるのが人情です。
しかし、その一歩が事故につながるのだと私は痛感しました。
今後は、「膨らんできたら寿命」「使えたとしても使ってはいけない」と割り切る姿勢が必要です。
バッテリーの状態に少しでも違和感を覚えたら、ためらわず使用をやめる勇気を持ってください。