2025年の夏、JR山手線内で発生したモバイルバッテリーの発火事故は、多くの人にとって他人事では済まされない出来事だったのではないでしょうか。
参照:yahoo news
炎天下の車内、突如として立ち上がる煙。

あのニュースを見て「うちも気をつけなきゃ」と思った方は、少なくなかったはずです。
とくに近年、
リチウムイオン電池の「発火リスク」は、夏場を中心に話題にのぼることが増えています。
もちろん、すべてのリチウム製品が危険というわけではありません。
正しく使えば便利な道具です。ただ一方で、
「より安全な選択肢があるなら、そっちを選びたい」
という人が増えつつあるのも事実ではないでしょうか。
この記事では、そんな“脱リチウム”の選択肢として注目されている、
- ナトリウムイオン電池
例:エレコム EC-C27LBK - 準固体電解質(SSPB)バッテリー
例:HAMAKEN WORKS HW-SSPB100SGN
この2つの技術をわかりやすく紹介します。
どちらも「燃えない構造」によって安全性を高めた、いわば次世代型のモバイルバッテリー。
夏の車内や災害時でも安心して使えるよう設計されており、
「これ以上、危険な思いはしたくない」と考える方にとって、有力な選択肢になるはずです。
この記事でわかること
- リチウムイオン電池の火災リスクとその背景
- ナトリウムイオン電池の特徴と安全性
- 準固体電解質(SSPB)が“釘を刺しても燃えない”理由
- なぜ今「脱リチウム」が注目されているのか
- 飛行機や災害時にも安心して使える製品情報


リチウムイオン電池はなぜ怖い?
「燃えた」という話、他人事に聞こえますか?



スマホやノートPC、
ワイヤレスイヤホンまで。
日常のあらゆる場面で使われている
「モバイルバッテリー」は、
いまや生活インフラといってもいい存在です。



でも、それらの多くに使われている
リチウムイオン電池は、実は構造的に
「発火の可能性を内包している」ことを、
あなたは知っていましたか?
可燃性の電解液というリスク
リチウムイオン電池の内部には、可燃性の液体(電解液)が使われています。
この電解液が、ある条件を満たすと急激な化学反応を起こしてしまい、
以下のようなケースでは突然“火を吹く”ことがあるとされています。
- 真夏の車内に長時間放置
- カバンの中で充電し続けていた
- 強い衝撃を受けて内部が破損
- 経年劣化による膨張やガス発生
こうした火災リスクは、特に高温多湿な日本の夏において、より顕在化しやすいとされています。
実際の事故は「起こりうる」から怖い
NITE(製品評価技術基盤機構)のデータによると、
2020年〜2024年の5年間で、1800件以上の事故がリチウムイオン電池製品に関連して報告されています。
そのうち85%以上が火災に発展しており、
しかも多くが6〜8月に集中しているという傾向があります。
つまり、
「気をつけていても、事故は誰にでも起こりうる」
という現実を、私たちはきちんと受け止める必要があります。
「じゃあ、リチウムはもう全部ダメなの?」



そう思われるかもしれませんが、
そこは少し冷静に!
リチウムイオン電池自体は、正しく使えば安全性の高い技術です。
問題は、ユーザーの取り扱いや、製品管理、そして環境です。
それでも、構造的に“燃える可能性”を含んでいるのは事実。
だからこそ今、
「そもそも燃えにくい構造のバッテリーってないの?」
というニーズが高まっているのです。



この問いへの答えが、次の章で紹介する
ナトリウムイオン電池や
**準固体電解質バッテリー(SSPB)**です。
もう選べる!リチウム以外のバッテリーってどんなもの?
「燃えないバッテリーなんて、本当にあるの?」



発火のリスクが気になる〜
けれど、モバイルバッテリーは
毎日の生活に欠かせないですよね
そんな矛盾した状況のなか、
“燃えないバッテリー”があるなら使ってみたい
と考えるのは、ごく自然なことではないでしょうか。
これまでは“仕方ないもの”とされていたリチウムの火災リスク。
けれど今、構造そのものが違う、根本的に燃えにくいバッテリー技術が登場しはじめています。
ナトリウムイオン電池:火を使わずに電気をためる技術
そのひとつが、ナトリウムイオン電池です。
金属リチウムの代わりに「ナトリウム(=塩と同じ元素)」を使っており、
化学的に発火しにくい構造を実現しています。
しかも、温度変化にも強く、−35℃〜50℃という広い範囲で安定動作。
夏の車内や、冬のキャンプ場でも安心して使える設計になっています。
繰り返し使える回数も圧倒的で、
なんと5000回以上の充放電が可能とされており、寿命面でもリチウムより有利です。
現在販売されているモデルのひとつが、
一般的な家電量販店やECサイトで購入できる“実用段階に入った次世代モデル”です。


SSPB(準固体電解質):釘を刺しても燃えない構造
もうひとつの注目技術が、準固体電解質バッテリー(SSPB)
こちらは、液体でも固体でもない“ゼリー状”の電解質を使った構造で、
リチウム電池で問題になっていた「デンドライト(結晶突起)」の発生を抑えることで、
ショートや発火を防ぐ構造になっています。
耐衝撃性や耐熱性にも優れ、
実験ではバッテリーに釘を刺しても燃えないことが確認されています。
製品としては、
が代表的なモデル。
−20℃〜80℃の範囲で使える耐環境性もあり、
登山・災害・猛暑の屋外作業などでも安心して使えるでしょう。


安全なだけじゃない、“実用性”のある選択肢
ナトリウムもSSPBも、
ただ安全なだけでなく、
**「繰り返し使える回数」「温度耐性」「衝撃への強さ」**
という点で、リチウム製品よりも優れている部分があります。
「選べる時代になった」と言えるのは、こうした実用性が背景にあるからこそ。
単なる理想論ではなく、“もう現実に選べる選択肢”として知っておきたい2つの技術です。
安全なバッテリーはどう役立つ?
「使わないときこそ、差が出るんです」
モバイルバッテリーって、
“持ってるだけで安心する”道具じゃないですか?
でも、本当に安心できるのは、
「いざというときに使えて、しかも安全なもの」だけです。
そしてその“いざ”というのは、
決して遠い未来の話ではありません。
たとえば、災害の日。
夜中に地震が起きて停電したとき。
スマホのライトが唯一の明かりで、SNSが唯一の情報源だった——
そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
でも、リチウムバッテリーの火災事故は、
実は災害のときにも起きやすいとされています。
停電中、カバンの中に入れたままモバイルバッテリーを使い、
こもった熱が引き金になる。
誰かが踏んで、バッテリーが歪む。
充電しながら毛布をかけて寝てしまう。
そうした“小さな油断”が、大きなトラブルに変わってしまうこともあるのです。
飛行機での“バッテリー厳重チェック”、気づいてますか?
最近、空港でこんな注意を聞いたことありませんか?
「モバイルバッテリーは預け荷物に入れないでください」
これは、リチウムバッテリーが燃える可能性があるためです。
実際、リチウム電池の発火事故は航空業界でもたびたび問題になっており、
荷物のX線検査や機内持ち込みの制限が年々厳しくなっています。
一方で、ナトリウムやSSPBのような“燃えにくい構造”をもつ製品は、
飛行機での取り扱いもスムーズで安心感があるという点が大きなメリット。
旅行や出張が多い方にとっては、まさに「選ぶ理由の一つ」と言えるでしょう。
安全性=実用性
バッテリーに求めるものは何か。
「容量」や「充電スピード」も大切ですが、
最後に残るのはやはり、**信頼できる“安心感”**です。
- 地震が来た
- 停電した
- 車内に置き忘れた
- 子どもが触った
そんな時、
「これなら燃えないから大丈夫」と思えるバッテリーがあること。
それが、実は“安全”という名の最高の実用性なのかもしれません。
それでもリチウム製品を使うなら?
「全部買い替えるのは現実的じゃない」
そう思った方もいるかもしれません。
実際、多くの人がすでに複数のリチウムバッテリーを持っていると思いますし、
いきなり全部を“非リチウム”に替えるのは、時間もコストもかかりますよね。
だからこそ、今リチウムイオン電池を使っている人にも、
**最低限やっておきたい“事故防止の基本ルール”**をお伝えしておきます。
リチウムバッテリーを安全に使うための3原則
1. 高温になる場所に放置しない
・夏の車内
・直射日光の当たるデスク
・布団やカバンの中
→ バッテリー内部の温度が上昇すると、ガスが発生して膨張・発火のリスクが高まります。
2. 充電中は目を離さない
・寝ながら充電しっぱなし
・外出中にUSBポートで充電したまま放置
→ 使用中の発熱に気づかず、異常を見逃してしまうケースが多発しています。
3. リコール対象かどうか定期的に調べる
→ 型番とメーカー名で検索すれば、回収情報や交換対応ページにアクセスできます。
知らずに危険なモデルを使い続けている人も意外と多いので、「確認する習慣」が大切です。
「怖い」より「賢く使う」
リチウムイオン電池が悪いわけではありません。
正しく使えば、便利で経済的な製品です。
ただ、もし今の製品に不安を感じるなら——
そしてこれから新しく買うなら——
“燃えにくい選択肢がある”ことを、頭の片隅に置いてほしいと思います。
ナトリウムでも、SSPBでも。
選べる時代になったからこそ、知っておいて損はないはずです。
さいごに:燃えない選択肢が“当たり前”になる未来へ
「バッテリーが燃えるなんて、昔の話でしょ?」
そう言える日が、本当に来るかもしれません。
でも、それは“選ぶ側の意識”が変わったときに初めて実現する未来です。
今のところ、リチウムイオン電池が主流であることに変わりはありません。
しかし、ナトリウムイオンや準固体電解質といった、
燃えにくさを“構造そのもの”で解決しようとする技術が、確実に現れはじめています。
たとえば、この記事で紹介した2つ:
- ナトリウムイオン電池搭載:エレコム EC-C27LBK
→ 地球にやさしく、温度変化に強く、長寿命。しかも燃えにくい。 - 準固体電解質バッテリー:HAMAKEN WORKS HW-SSPB100SGN
→ ゼリー状電解質で、釘を刺しても燃えない実験映像も話題に。
どちらも、「燃えないモバイルバッテリーを探している」人にとって、
実用性・信頼性の両面で注目すべきモデルです。
バッテリーは、命を預ける道具になった
スマホの充電が切れたら、
連絡が取れない、情報が入らない、ライトも点かない。
災害のとき、出張のとき、登山のとき。
モバイルバッテリーは“命綱”になる道具です。
だからこそ、「燃えにくいかどうか」も立派なスペックとして、
これからは当たり前に比較されていくのだと思います。
今すぐすべてを替える必要はありません。
けれど、「次に買うとき」は、ぜひ思い出してほしい。
燃えない選択肢は、もう現実になっている。
そして、それを知っているかどうかが、“安心の分かれ道”になるかもしれません。