モバイルバッテリーの需要が高まる現代、気軽に買える反面、火災や発熱といった思わぬトラブルが後を絶ちません。
実際に「充電中に熱くなった」「突然バッテリーが膨らんだ」「発火した」といった報告もSNS上には多く投稿されています。

そもそも熱くなるモノじゃないの?!



異様な熱、変形はすぐに使用を中断しましょう
かくいう私も、以前ネット通販で購入した格安のモバイルバッテリーで怖い思いをしたことがあります。スペックだけ見て選び、届いた製品を使ってみたところ、異様に発熱。「これ、本当に大丈夫なのか?」と不安になり、すぐに使用を中止しました。
あのとき、「安全なモバイルバッテリーの見分け方」を知っていれば、あんな思いはしなくて済んだかもしれません。
本記事では、これから購入を考えている方、あるいは現在使っている製品に少しでも不安を感じている方に向けて、「火災・発火リスクを避けるために確認すべき5つの視点」をわかりやすく解説します。
「安ければいい」という判断が、命に関わるリスクに直結することもある今、安全性を見極めるポイントを知ることが何より重要です。この記事を読めば、次に選ぶモバイルバッテリーに対して「安心感」を持てるようになるはずです。
この記事でわかること: ・モバイルバッテリーの安全基準「PSEマーク」の正しい知識
・発火や発熱を防ぐ構造・素材・セルの確認方法
・信頼できるメーカー・販売元を見極める視点
・粗悪品を避けるためのレビュー・表示の見方
・事故リスクを減らすための“使う前”の意識づけ
※意見や感じ方は人それぞれです。異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
安全なバッテリーを選ぶ「最初の一歩」はPSEマークの確認
モバイルバッテリーを選ぶ際に、最も基本かつ重要な確認項目が「PSEマークの有無」です。
PSEマークとは、「電気用品安全法(PSE法)」に基づいて、安全性が確保されていることを示す政府認証のマークです。特にモバイルバッテリーのように、リチウムイオン電池を搭載した製品は、2018年2月から法的に「PSEマークの表示が義務化」されました。
このマークには「ひし形」と「丸形」の2種類がありますが、モバイルバッテリーに表示されるべきは、**「ひし形PSEマーク」**です。これがない製品は、日本国内ではそもそも販売してはいけないもののはずなのに、実際には未認証品や模造品がネット通販サイトなどで流通していることがあります。
では、どこで確認すればよいのでしょうか?
製品本体、もしくはパッケージ裏面に「PSE」の文字と、認証を行った事業者名(または登録番号)が記載されているかをチェックしてください。表示がない、見当たらない、もしくはPSEマークだけで詳細情報が載っていない場合は、購入を避けるのが賢明です。
また、「PSEマークはあるけれど、それ以外に製品情報が極端に少ない」というケースも要注意です。製品仕様や製造元の情報が曖昧なまま販売されていることもあり、これらは表示義務の最低限だけを満たしている“グレーゾーン”の製品かもしれません。
価格が安いという理由で飛びついてしまいがちですが、「PSEマークがあるかどうか」を確認することが、安全なモバイルバッテリー選びの第一歩となります。
※PSEマークがない製品は、日本国内ではそもそも販売してはいけない
なお、PSEマークについての詳しい見方や、信頼できる表示のチェックポイントについては、以下の記事でより丁寧に解説しています。
「PSEマークとは?知らずに買うと危ないバッテリーの見分け方」
をまだ読んでいない方は、ぜひあわせてご覧ください。
✅ モバイルバッテリーには「ひし形PSEマーク」が義務化されている
✅ 本体またはパッケージ裏にマークと事業者名の記載が必要
✅ 表示が曖昧な製品や激安ノーブランド品には特に注意
発火・膨張を防ぐ「セルの品質」とは?
モバイルバッテリーの中身には、「セル」と呼ばれる電池の心臓部が組み込まれています。このセルの品質こそが、安全性を左右する大きなカギとなります。見た目が同じでも、内部のセルが粗悪なものであれば、発火や膨張といった深刻な事故を引き起こす原因になることがあります。
高品質なセルは、世界的に定評のあるメーカー、たとえば「LG」「Panasonic」「Samsung」などが供給していることが多いです。これらの企業のセルは、長年の研究開発と厳格な安全管理のもとで製造されており、一定以上の安全性が担保されています。一方で、製品によっては安価なノーブランドのセルが使用されていることがあり、品質管理が不十分な場合があるため注意が必要です。
問題は、「セルのメーカーがどこなのか」を一般の消費者が簡単に確認できないことです。多くの製品は、外装や仕様に「セルの出どころ」を明記していません。そんなときは、製品ページやパッケージに「日本製セル使用」「大手メーカーセル採用」などの記載があるかを確認するのが一つの手です。また、やたらと安価な製品や、レビュー数が極端に少ない商品は、セルの品質が不明確である可能性が高いと考えられます。
バッテリーの“中身”は目に見えません。しかし見えない部分にこそ、真の安全性が隠されているのです。
※多くの製品ではセルのメーカーが明記されていないため、消費者が確認するのは難しい場合がありますが、一部の製品では明記されていることもあります
✅ セルはモバイルバッテリーの安全性を左右する重要部品
✅ 「日本製セル」や「大手メーカー製セル」の記載がある製品は安心材料
✅ 安すぎる製品やセル情報の記載がない製品には注意が必要
発熱しにくい設計と「回路保護機能」のチェック
見た目ではわかりづらいけれど、安全性に直結する重要な要素――それが「回路保護機能」です。モバイルバッテリーは単に電気を蓄えて供給するだけでなく、その過程でさまざまな“異常”が起こる可能性があります。過充電、過放電、ショート、発熱、過電流…。こうした状況からユーザーや機器を守るために必要なのが、回路保護機能の存在なのです。
たとえば、モバイルバッテリーをフル充電のまま長時間放置したり、劣化したケーブルを使ったりすると、本来の設計を超えた電流が流れることがあります。そうしたときに、保護回路が働かなければ、熱を持ちすぎて筐体が変形したり、最悪の場合は発火に至ることもあるとされています。
この回路保護機能は、製品説明に「過充電防止機能」「ショート防止」「温度管理IC搭載」などと書かれていることがあります。とはいえ、すべての製品が明確に記載しているわけではありません。あまりにシンプルな説明や、「高性能」とだけしか書かれていないものは注意が必要です。
加えて、複数ポート搭載モデルなどは、回路制御が複雑になるため、なおさら保護機能の有無が重要になってきます。安全設計がきちんとなされている製品は、たとえば使用中に温度が上がった場合に出力を自動で制限したり、内部の異常を検知して即座に充電を停止するなどの動作を行います。
見えない部分だからこそ、製品の説明やレビューを丁寧に読み、保護機能の存在を確認することが不可欠です。
✅ 過充電・ショートなどを防ぐ「回路保護機能」が安全性を左右する
✅ 「温度管理IC搭載」「自動遮断機能」などの記載がある製品を選ぶ
✅ 説明が曖昧な製品や低価格すぎるものは保護機能が不十分な可能性あり
安全性に関わる「筐体素材」も重要な要素
モバイルバッテリーを選ぶとき、意外と見落としがちなのが「筐体(きょうたい)」の素材です。筐体とは、バッテリーを覆っている外側のケース部分のこと。ここがどのような素材で作られているかによって、落下時や発熱時の安全性に大きな差が出るのです。
一般的に、モバイルバッテリーの筐体には「プラスチック(樹脂)」か「金属(アルミなど)」が使われています。プラスチック製は軽くて安価な反面、熱に弱く、発熱した場合に変形・破損しやすいという弱点があります。一方で、アルミなどの金属筐体は熱伝導性が高く、発熱時に内部の熱を逃がしやすいため、安全性が高い傾向にあります。
また、耐衝撃性という点でも差があります。落としたときにプラスチックはヒビが入りやすいのに対し、アルミ製は衝撃に強く、中のバッテリーセルをしっかり保護してくれます。もちろん、金属製だからすべてが安全とは限りませんが、全体的に信頼性の高い製品は、筐体の素材にもこだわっていることが多いです。
購入時に確認すべきポイントは、商品説明欄に「筐体:アルミ製」「耐衝撃設計」「難燃性素材使用」などの記載があるかどうか。これらがある製品は、明確に安全性を意識した設計であると判断しやすいです。
安価な製品では素材の記載がない場合も多く、そのようなときはレビューで「熱くなった」「ケースが割れた」といった報告がないか確認するのも有効です。
✅ 筐体素材は「熱」と「衝撃」から中身を守る重要ポイント
✅ 金属(アルミ)製筐体は放熱性と耐久性の面で優れている
✅ 商品説明に「難燃性」「耐衝撃」などの記載があるかを要確認
実績と評判は「事故の少なさ」に直結する
どれだけスペックが良く見えても、最終的に頼れるのは“その製品が実際に使われた実績”です。事故が少ない=安全性が高い証拠。つまり「どれだけ売れていて、どれだけトラブルが起きていないか」という点が、モバイルバッテリー選びでは非常に重要な判断材料になります。
安全性に力を入れているメーカーは、製品ページに「累計販売台数」や「レビュー件数」をしっかり記載しています。また、大手家電量販店や公式ECショップで取り扱われている製品は、販売前のチェック体制も厳しく、リスクの高い商品が紛れ込む可能性が低くなっています。
一方で、無名ブランドや輸入代行業者が扱うバッテリーは、PSEマークの有無はもちろん、セルの品質や安全設計も不明なことが多く、トラブル報告があってもすぐに販売元が消える…といったことも珍しくありません。
レビューを確認する際は、ただ評価点を見るだけでなく、「熱くなる」「焦げたにおいがした」「使って1カ月で壊れた」など、具体的なトラブル報告がないかを丁寧に読み取ることが大切です。逆に、「思ったより重い」「色味が違った」といった意見が多い製品は、安全面では問題が少ない可能性があるとも言えます。
メーカー名やブランドを調べてもよくわからないときは、レビュー数が多く、長期間にわたって販売されているかどうかをひとつの目安にしてみてください。
✅ 実績豊富なメーカー・ブランドは安全性に信頼が持てる
✅ レビュー数や内容から「事故の少なさ」を見抜く
✅ 無名ブランドやトラブル報告の多い製品は避けるのが無難
さいごに
モバイルバッテリーは便利な反面、選び方を間違えると「危険物」にもなり得る製品です。私自身、安さだけで飛びついたことで冷や汗をかいた経験があります。それ以来、購入前には「見えない部分」にこそ目を向けるようになりました。
今回ご紹介した5つの視点――
- PSEマークの有無
- セルの品質
- 回路保護機能の搭載
- 筐体素材の安全性
- 実績とレビューの信頼性
これらはすべて、事故を防ぐために押さえておきたい最低限のポイントです。そして逆に言えば、この5つさえ確認できれば、モバイルバッテリーによるトラブルの多くは防げるとも言えるのです。
とにかく安ければいい、という時代はもう終わりです。スマートフォンと同じように、日常で常に肌身離さず使うものだからこそ、信頼できる製品を選ぶことが、あなた自身の命と財産を守ることにつながります。
安全は、買う前に手に入れるもの。
この記事が、その選択の助けになれば幸いです。
✅ 安全なバッテリーは「見えない部分」で選ぶことが大切
✅ 5つのポイントを意識すれば発火・発熱リスクを大幅に下げられる
✅ 安さではなく「信頼性」に価値を見出す選び方が今後の常識