ペンタックスKマウントを愛用してきた人にとって、シグマやタムロンのレンズは長年“頼れるサードパーティ”として存在感を放ってきました。
ところが近年、新品供給が相次いで途絶え、中古市場が唯一の活路となりつつあります。

ここ数年で、Kマウント用サードパーティレンズの流通量は目に見えて減ってきました。



古くなるほど安くなるものだと思っていましたが、逆なんですね。



再生産がない以上、価格が下がるどころか一定の水準を保つケースも増えています。
何も知らずに「安くなってから買えばいい」と考えていると、気づけば相場が上がり、掘り出し物を逃してしまうこともあります。
私自身もかつて“底値狙い”で時間をかけすぎ、結局高値で手を出す羽目になった苦い経験があります。
だからこそ、いまKマウントを続けたい人に向けて、2025年9月時点で押さえるべき中古相場の勘所を、実体験を交えつつ整理しました。
この記事でわかること
- Pentax Kマウントにおけるシグマ・タムロン中古レンズの最新相場と人気モデル
- 価格が崩れにくい理由と買い時・売り時の見極め方
- ボディ世代差やAF仕様など、購入前に確認しておくべき技術的ポイント
- 為替や季節要因が中古価格に及ぼす影響
- 買取で損をしないために準備しておくべき査定アップのコツ
シグマ中古レンズ相場と注目モデル
ペンタックスKマウントでシグマ製レンズを選ぶ際、2025年の中古市場はかつてないほど緊張感を帯びています。
単に「どのレンズが良いか」ではなく、「いつ動くか」が成否を分ける時代です。



シグマがKマウント向けの製造が発表されなくなり、もう5年以上が経ちます。



そんなに前からなんですね。



ええ、その間に市場の玉数は目に見えて減り、特定モデルの底値はほぼ消えました。



ええ、その間に市場の玉数は目に見えて減り、特定モデルの底値はほぼ消えているようですね。
18-35mm F1.8 DC HSM | Art:APS-C唯一の「F1.8通し標準」


APS-C用で開放F1.8を実現する唯一無二の標準ズーム。
このレンズの存在は、Kマウントユーザーにとって代えがたいものです。
- 相場レンジ:おおむね5〜7万円台が中心。
直近180日のヤフオク!平均は5万6千円台で、店頭保証付き良個体は7万円に届くこともあります。 - 上昇要因:供給再開の見込みがなく、他社レンズに同等スペックが存在しない。
APS-Cで夜間撮影や室内スポーツをこなせる明るさが、この価格を長く下支えしています。



私もかつて底値を狙って待ちましたが、結果的に値上がりしてしまいました。



待つより、条件の良い個体を見つけた時に即決したほうが安全ですね。
10-20mm F3.5 EX DC HSM:広角ズームの定番


超広角ズームとして風景・建築撮影に人気の高い一本。
母数が減っているKマウント市場では、3万円弱の棚に落ち着く傾向があります。
- 相場レンジ:美品は2.5〜3万円前後。
店頭保証付きは3万円を少し超えることもあり、整備済表示がある個体は指名買いで早々に売れるケースが目立ちます。 - 狙いどころ:風景撮影者が多い季節(秋〜冬)に出物が一時的に増える傾向があり、タイミングを逃さないことが肝要です。
17-70mm F2.8-4.5 DC Macro:万能型標準ズーム


初期型を含め幅広く出回る標準ズーム。
中古では100〜150USD帯(円安局面では約1.5〜2万円)で推移します。
- 相場レンジ:1.5〜2万円前後が目安。
- 留意点:古い個体はボディ内AF駆動(AFカプラー)依存が多く、作動音や合焦速度に個体差があります。
動作確認と返品可否の確認は必須です。
70-300mm F4-5.6系:エントリー望遠の“処分帯”


海外二次流通では1万円未満〜1万円台前半で推移する「エントリー望遠」。
eBayの動きが国内に遅れて反映されることが多く、円安局面では国内相場も数か月後に微上昇する場合があります。
海外フローと為替の影響



海外相場をeBayで追っておくと、日本の棚に反映されるタイミングを見極めやすいです。



円安が進めば、海外からの逆流入が減り、国内相場がじわりと上がるということですね。



その通り。海外フローを意識するだけで、買い時の判断材料が一気に増えます。
Kマウントのシグマレンズは、もはや「時間をかければ安くなる」時代ではありません。
特に18-35mm F1.8 Artのような替えが効かないモデルは、良個体を見つけたときが事実上の買い時です。
出物を定点観測し、複数ソースで相場中央を押さえることが、これからの中古市場で失敗を防ぐ最大の武器になります。
シグマ中古レンズ相場一覧(2025年9月時点の目安)
モデル名 | 相場レンジ(国内) | 備考・注意点 |
---|---|---|
**18-35mm F1.8 DC HSM | APS-C唯一のF1.8通し標準ズーム。夜間・室内撮影に強い。 | 5〜7万円台(ヤフオク!平均 約5.6万円) |
10-20mm F3.5 EX DC HSM | 2.5〜3万円前後(美品は3万円超) | 秋〜冬は風景需要で出物が増える傾向。保証付き美品は指名買いされやすい。 |
17-70mm F2.8-4.5 DC Macro | 1.5〜2万円前後(海外100〜150USD) | 古い個体はボディ内AF駆動が多く、作動音や合焦速度に個体差。返品可否を要確認。 |
70-300mm F4-5.6系 | 1万円未満〜1万円台前半 | 海外相場が国内に遅れて反映。円安局面では後から微上昇する可能性あり。 |
※価格は2025年9月時点の国内主要中古店・オークション・海外eBayなど複数ソースを参考にした目安。実際の出品状況や為替により変動します。
タムロン中古レンズ相場と選び方
ペンタックスKマウントでタムロンレンズを選ぶときは、単純に「安いから買う」では危険です。
タムロンは同じ型番でも個体差が大きく、保管環境や使用年数によって写りやAF精度が驚くほど変わります。
一見お得に見える玉でも、実際に使い始めてから「AFが前後にズレている」「内部にチリやクモリがある」と判明し、結局修理代が本体価格を超える――そんなケースも少なくありません。



タムロンは型番によって個体差が顕著です。



中古価格が安くても、状態次第では結局コストがかさむのですね。



その通り。だからこそ“整備済”や“返品可”という条件価値を重視すべきです。
SP AF 28-75mm F2.8 XR Di(A09P)


フルサイズ対応の大定番。
1万円台が中心価格帯ですが、コンディションにより1万円前後から2万円弱まで幅があります。
- 特徴:開放F2.8通しの標準ズーム。コンパクトで持ち運びやすく、ポートレートからイベント撮影まで万能。
- 相場レンジ:キタムラやマップカメラでは1.2〜1.8万円が目安。店頭整備済や付属完備なら1万円台後半も珍しくありません。
- 注意点:ズームのガタ、AF精度のばらつき、内部チリが代表的なリスク。特に片ボケや無限遠の精度は要チェック。
- 買い方のコツ:UCS点検済や返品保証付き個体を優先。多少高くても長期的に安心です。
SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(A16P)
APS-C対応の明るい標準ズーム。
1.6〜2.4万円が目安ですが、AFの前後ピンに個体差が出やすく、ボディ側のAF微調整機能が必須といわれます。
- 特徴:軽量でF2.8通し。風景・室内・スナップなど幅広く対応。
- 相場レンジ:キタムラ中古では1.8〜2.3万円。良品や付属完備は2.4万円前後まで上振れ。
- 注意点:前ピン・後ピンの個体差が大きく、調整機能のないボディでは歩留まりが落ちやすい。
- 買い方のコツ:試写できる店舗か、返品可条件が必須。AF微調整可能なK-3系・K-1系ボディを使うと歩留まりを上げやすい。



このレンズは明るさと軽さのバランスが良いですが、歩留まりを上げるにはAF調整必須です。



購入前に必ず試写できる店舗を選びたいですね。
Yahooオークション リンク
SP AF 90mm F2.8 Di MACRO(272E)
価格.com 商品ページリンク
「タムキュー」の愛称で知られる定番マクロ。
8千円〜1.5万円が相場ですが、コンディションによって価格が二極化します。
- 特徴:開放から高い解像力と柔らかいボケ味。ポートレートでも人気。
- 相場レンジ:ヤフオク!では8千円〜1.2万円が中心。美品や整備済は1.5万円近くになることも。
- 注意点:前玉コート傷、絞り羽の油染み、内部クモリ、ヘリコイドのグリス切れなど。特に絞り羽油染みは修理費がかさむため要注意。
- 買い方のコツ:付属品完備・動作保証付きの店舗在庫が狙い目。新品供給が途絶えた今、良個体を早めに確保しておくと安心。
相場を味方にするポイント
- 条件価値を重視:整備済や返品保証は価格に見合うリスク回避策。長期的にはむしろ得。
- 季節と為替:円安局面では海外からの流入が減少し、国内在庫が薄くなって買取価格が上がることがある。
- 中央価格を把握:ヤフオク!など複数ソースの平均値を指標にすると、適正価格での購入・売却判断がぶれない。
Kマウント用タムロンは、いずれも「早い者勝ち」で状態の良い玉から売れていきます。
特にA09PとA16Pは母数こそ多いものの、整備済で歩留まりの高い個体はすぐに消えるため、中央価格帯で良品を見つけた時が実質的な買い時です。
272Eは需要が安定しているため、良個体を確保したいなら相場を確認しつつ早めに動くことが後悔を防ぐ鍵となります。
タムロン中古レンズ相場一覧(2025年9月時点の目安)
モデル名 | 相場レンジ(国内) | 注意点・購入時のコツ |
---|---|---|
SP AF 28-75mm F2.8 XR Di(A09P) | 1.0〜1.8万円前後(整備済・付属完備は1万円台後半) | ズームのガタ・AF精度のばらつき・内部チリに要注意。UCS点検済や返品保証付き個体を優先。 |
SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II(A16P) | 1.6〜2.4万円(良品・付属完備は2.4万円近く) | 前後ピンの個体差が大きく、AF微調整機能付きボディ推奨。試写または返品可条件は必須。 |
SP AF 90mm F2.8 Di MACRO(272E) | 0.8〜1.5万円(美品・整備済は1.5万円近く) | 前玉コート傷・絞り羽油染み・内部クモリ・ヘリコイドのグリス切れに注意。付属完備・動作保証付きが安全。 |
※価格は2025年9月時点の国内主要中古店・オークション・eBay等複数ソースを参考にした目安です。
為替や在庫状況により変動しますので、実際の購入時は最新の相場を必ず確認してください。
相場を読むための実践ノウハウ
中古市場でPentax K用のシグマ・タムロンレンズを賢く選ぶには、単に価格帯を知るだけでは不十分です。
「相場中央を押さえる」
「条件価値を見極める」
「為替や季節要因を読む」
――これら三つの視点が、失敗しない買い方を支えます。



底値だけを狙って時間をかけすぎると、結局チャンスを逃します。



安さだけで決めるのは危険ということですね。
そうです。適正値を見極める目が必要です。
相場中央を基準にした価格判断


例えばシグマ18-35mm F1.8 Artなら、直近180日のオークション平均は約56,000円台。
店頭保証付きの良個体はその中央価格より少し高くても、後々の安心料を考えれば十分妥当です。
店頭整備済みレンズの付加価値
キタムラUCS点検済やマップカメラのコンディション表記は、中古レンズで大きな安心材料です。
価格は上振れしても、返品対応や再販価値を考えればむしろ合理的な選択となります。



整備済みという証拠があるだけで、後のトラブルが格段に減ります。



最初は少し高くても結果的に安く済むわけですね。
為替・季節イベントが与える価格変動
円安が進むと、海外eBayの価格が国内市場に遅れて反映されることがあります。
また、ペンタックス側のボディ生産完了報やイベントシーズンは、一時的に放出品が増え、相場が動くきっかけになります。



ボディ生産完了のニュースは、中古放出の合図になることもあります



そのタイミングを逃さないことが、買い時を掴むコツですね。




売却・買取の勘所
中古レンズを手放すときは、ただ店に持ち込むだけでは理想的な条件を引き出せません。
あらかじめ相場の“中央価格”を把握し、付属品やコンディションを整えることで、査定額を確実に底上げできます。



相場を知らずに査定に出すと、提示された金額をそのまま受け入れてしまう人が多いです。



確かに比べる材料がないと、交渉もできませんね。



だからこそ「相場中央」と「上限買取価格」の二つを知っておくべきです。
上限買取価格を狙うための事前準備
18-35mm F1.8 Artのように人気が高く需給が逼迫している玉は、店頭側で上限買取価格を公開している場合があります。
複数店舗で相見積もりを取り、最も条件が良い店を選ぶことで、下取り差額を最小化できます。
付属品・清掃・動作チェックで査定アップ
フード、前後キャップ、箱などの付属品は、揃っているだけで評価が上がります。
また、外装の簡易清掃や無限遠・近接AFなど基本動作のチェック結果をメモ化して提示すると、買取担当者の信頼を得やすく、査定が安定します。



査定の現場では、付属品と簡単な清掃だけで印象が大きく変わります。



手間をかけた分が、きちんと金額に返ってくるんですね。
為替と季節要因の逆風を見越す
円安が続く局面では、海外からの流入が減少し、国内在庫が薄くなることがあります。
その場合、店舗側も仕入れを強化するため買取価格が一時的に上がる可能性があります。
一方でイベントシーズン後には、使用を終えた個体が一斉に放出されるため、短期的に買取価格が下がる場合もあるため注意が必要です。
さいごに:Kシステムを長く楽しむために
ペンタックスKマウントでシグマやタムロンのレンズを使い続けることは、これからも十分に価値があります。
新品供給が見込めないからこそ、中古市場の動きを理解し、タイミングを逃さず行動することが重要です。



結局は「情報を追う体力」が未来の撮影環境を守ります。



知っているかどうかで、手に入るレンズも変わるわけですね。



その通り。中央価格と条件価値を押さえておけば、慌てずに判断できます。
18-35mm F1.8 Artのように替えが効かない一本は、相場中央で良個体を見つけた時が買い時です。
A09PやA16Pのように流通量が多いモデルは、底値を待つよりも返品保証付きの適正価格で早めに押さえる戦略が現実的でしょう。
ボディやレンズの互換性、FW更新の有無、AF微調整の可否など、技術的な基礎知識を持っておくことで、Kシステムの可能性はまだまだ広がります。
そして、為替や季節の動きを味方につければ、手持ち資産の価値を守りながら、撮影環境を長く楽しむことができるはずです。



これからもKで撮り続けたいなら、今こそ中古相場を学ぶ絶好の時期です。



しっかり勘所を押さえて、長くKシステムを楽しみたいですね。