2026年9月12日時点で、世界のカメラ・写真業界ではいくつか大きな動きが出ています。
今週とくに目立つのは、単純な「新しいカメラの発表」ではありません。
ニコンがREDとの連携を一段深め、カメラだけでなくレンズやファームウェアまで含めた「Z CINEMA」のシステム構築へ進み始めました。
一方、写真ユーザーに近いところでは、シグマが85mm F1.2と20-60mmの新レンズを投入。富士フイルムも、Xシリーズ用として400mm F4.5の超望遠単焦点を発表しています。
さらにキヤノンはEOS R1とEOS R5 Mark IIの不具合修正を含む最新ファームウェアを公開しました。
今回はメーカー公式情報を中心に確認し、日本のカメラユーザーにとって実際に読む価値があるニュースに絞って整理します。
※情報は2026年9月12日早朝時点。メーカーによって日本国内と海外で発表・提供時期が異なる場合があります。
この記事でわかること
- ニコンが開発する9本の「NIKKOR Z CINEMA T1.9 VV」と今後のZマウント
- Nikon ZRで予定されている大型ファームウェアの内容
- シグマ85mm F1.2と20-60mm F2.8-4の発売日
- 富士フイルムXF400mmF4.5がXシリーズで持つ意味
- GFX ETERNA 55の新EVFとiPad・iPhone連携
- EOS R1/EOS R5 Mark IIの最新ファームウェア情報
- 今週のニュースから見える、カメラ業界の次の方向性


ニコンが「Z CINEMA」を一気に拡張、シネマレンズ9本を開発
今週もっとも大きな発表のひとつが、ニコンによる**「NIKKOR Z CINEMA T1.9 VV」シリーズの開発発表**です。
ニコンは2026年9月8日、50mm T1.9 VVを含む計9本のシネマレンズを開発していることを正式に明らかにしました。
単に「動画向けレンズが増える」という話ではありません。
NIKKORとして初めてREDのVVセンサーをカバー
新シリーズは、RED「V-RAPTOR [X]」に搭載される40.96×21.60mmのVVセンサーをカバーします。
これは一般的な35mmフルサイズセンサーより大きなイメージサークルです。
さらに興味深いのが、シネマレンズでありながら高精度なAF機構を搭載予定であること。
従来のシネマレンズではMF中心の運用も珍しくありませんでしたが、ZシリーズのミラーレスカメラとREDのシネマカメラをまたいで利用できるシネマレンズ群を整備し、AFを含めた新しい制作環境を構築しようとしているのかもしれません。
写真ユーザーにも無関係ではない
「映画を撮らないから関係ない」と感じるかもしれません。
ただ、この動きはZマウント全体を見るうえでかなり重要です。
ニコンは現在、静止画用Zシリーズ、動画・映画向けZ CINEMA、REDという複数の資産を同じ方向へ集約しつつあります。
つまり今後のZマウントは、写真専用というより写真から本格シネマまでをひとつのマウントでつなぐシステムへ変わっていく可能性があります。
ここは2027年以降のニコンを見るうえでも注目したい部分です。
Nikon ZRも大型アップデートへ、REDとの融合がさらに進む
シネマレンズと同じ9月8日、ニコンは「Nikon ZR」用ファームウェアVer.2.00についても開発を正式発表しました。
こちらも内容がかなり濃いです。
Ver.2.00ではRED系カラー管理を強化
予定されている主な変更は、H.265記録での「Log3G10」「REDWideGamutRGB」対応、高感度ノイズ低減の調整機能、R3D NE記録時のフォーカスピーキング表示です。
とくにH.265でRED系のガンマ・色域を扱えるようになる点は、実用面で大きな意味があります。
R3D NEほどデータ量を増やしたくない撮影でも、REDを意識したカラーグレーディング環境を構築しやすくなるからです。
Ver.2.00は2026年内の提供予定となっています。
オープンゲート対応は2027年を予定
さらに重要なのは、その先です。
ニコンはオープンゲート記録と、アナモルフィックレンズ使用時のデスクイーズ表示についても開発を進めており、2027年中の対応を目指しています。
つまりZRは、発売時点で機能が完成するカメラというより、ファームウェアによって段階的にシネマ機として強化されていく製品になっています。
シネマレンズ9本の開発と合わせて考えると、ニコンがRED買収後の成果を本格的に製品へ落とし込み始めた、と見るほうが自然でしょう。
シグマ85mm F1.2 DG | Artが9月30日発売
写真ユーザーにとって、今週もっとも気になるレンズのひとつはこちらでしょう。
シグマは「Sigma 85mm F1.2 DG | Art」を2026年9月30日に発売すると正式発表しました。
対応マウントはLマウントとソニーEマウントです。
85mm F1.2で「持ち出せること」を重視
85mm F1.2自体は、ポートレート向けとして分かりやすいスペックです。
しかし今回シグマが強調しているのは、単純な大口径競争だけではなく、F1.2でありながら携帯性も追求している点です。
85mmクラスでF1.2となれば、被写界深度を浅くできるだけでなく、暗所でシャッタースピードを確保しやすいメリットもあります。
ポートレートはもちろん、室内撮影やステージ撮影などでも面白い存在になりそうです。
ただし現段階ではキヤノンRF、ニコンZ用は発表されていません。
Eマウント、Lマウントユーザーにとって特に大きなニュースです。
シグマ20-60mm F2.8-4 DGは「24-70mmとは違う便利さ」を狙う
同じ9月30日には「Sigma 20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary」も発売されます。
こちらもLマウントとソニーEマウント向けです。
個人的に今回はこちらのほうが、日常撮影では面白い存在になる可能性があります。
20mmスタートがかなり効く
一般的な標準ズームは24-70mm前後ですが、このレンズは20-60mm。
望遠側を70mmから60mmへ少し削り、その代わり広角側を20mmまで広げています。
この4mmの差は数字以上に大きく、狭い室内、建築、旅行、街歩き、動画、自撮りなどでは20mmがかなり使いやすくなります。
しかも開放F値はF2.8-4。
シグマは携帯性も重視しており、Lマウント仕様で385gとされています。
「24-70mm F2.8ほど大きなレンズはいらない。でも普通のキットズームより明るく、広角にも強いレンズが欲しい」
そんなユーザーには、かなり刺さりそうです。
富士フイルムXF400mmF4.5が9月18日発売、換算609mmで約1,245g
Xシリーズでは久しぶりに、かなり尖ったレンズが登場します。
富士フイルムは「XF400mmF4.5 R LM OIS WR」を2026年9月18日に発売します。
焦点距離は400mm。
APS-CのXシリーズでは35mm判換算約609mm相当になります。
それでいて重量は約1,245gです。
野鳥・飛行機・モータースポーツにはかなり魅力的
さらに5.5段の手ブレ補正を搭載し、1.4倍テレコンバーター装着時には換算約853mm相当、2倍テレコンバーターでは約1,219mm相当まで伸ばせます。
これはXシリーズの性格を考えると面白いところです。
フルサイズで600mmクラスの画角を確保しようとすると、どうしてもシステム全体が大型化しやすくなります。
対してXシリーズなら、APS-Cの画角を利用しながら比較的小さなシステムで超望遠へ到達できます。
野鳥、航空機、鉄道、モータースポーツなどでは、センサーサイズそのものより**「必要な画角を何kgで持ち運べるか」**が実際の使いやすさを左右します。
XF400mmF4.5は、そのメリットをかなり分かりやすく打ち出したレンズと言えそうです。
GFX ETERNA 55に専用EVF、富士フイルムも映像システムを拡張
富士フイルムからはもうひとつ大きな動きがあります。
中判センサーを採用する映像制作向けカメラ「GFX ETERNA 55」専用の電子ビューファインダー「VF-GFXC2」が発表されました。
4:3オープンゲートに合わせた専用設計
VF-GFXC2は2048×1536ドット、最大輝度1,000nit。
特徴的なのは、GFX ETERNA 55の4:3オープンゲート記録を意識して、4:3パネルを採用していることです。
単純に既存EVFを流用するのではなく、映像制作機として専用品を用意しています。
発売は2026年中の予定です。
iPhone・iPadから最大4台を操作可能に
同時に「ETERNA ProRemote」も発表されました。
iPhoneやiPadからBluetooth、Wi-Fi、有線LANを利用してGFX ETERNA 55を操作でき、撮影環境に応じて3種類の接続方法を選択できます。
最大4台を利用したマルチカメラ運用にも対応します。
これは一般的な写真撮影には直接関係しません。
ただしニコンがZ CINEMAを拡張する一方で、富士フイルムもGFXを軸に「カメラ単体」ではなく撮影システム全体を作ろうとしている点は押さえておきたいところです。
今週は偶然とは思えないほど、各社の映像制作市場への動きが重なっています。
EOS R1/EOS R5 Mark IIに最新ファームウェアVer.1.3.2
キヤノンユーザーは新製品だけでなく、こちらも確認しておきたいところです。
Canon USAでは、EOS R1とEOS R5 Mark II向けにファームウェアVer.1.3.2が公開されています。
大規模な新機能追加ではなく、安定性と不具合修正が中心です。
EOS R5 Mark IIでは再起動問題も修正
両機共通では、「EOS Multi Remote」利用時のライブビュー遅延改善、連動撮影関連の不具合修正、動作安定性向上などが含まれます。
EOS R5 Mark IIではさらに、Dual Pixel RAWを有効にした状態で撮影中、カメラが再起動する場合がある問題にも対処しています。
EOS R1についても、EOS Multi Remote関連と動作安定性の改善が含まれています。
華やかな機能追加ではありませんが、仕事やイベント撮影で使う機種ほど、こうした安定性改善は重要です。
該当機種を使っている場合は、日本向けサポートページで公開状況を確認したうえで更新を検討してよいでしょう。
今週のカメラニュースから見える「静止画だけではない」業界の変化
今回のニュースを並べると、ひとつ面白い傾向が浮かびます。
ニコンはZRとシネマレンズ。
富士フイルムはGFX ETERNA 55と専用EVF・遠隔操作環境。
キヤノンもプロ向け機種で複数台運用やネットワーク撮影環境を改善しています。
一方で写真側では、富士フイルムが400mm F4.5、シグマが85mm F1.2と20-60mmを投入しました。
つまりカメラ業界が完全に「動画へ移った」というより、静止画と映像を別々に発展させるのではなく、同じマウントやシステムの中へ取り込もうとしているように見えます。
これは日本の一般ユーザーにも無関係ではありません。
プロ向け映像機で培われたAF、熱処理、センサー読み出し、モニタリング、通信機能などは、時間をかけてハイブリッド機にも降りてくる可能性があるからです。
今回のニコンとREDの動きは、その象徴と言えるでしょう。
さいごに
2026年9月第2週は、「ものすごい新型ミラーレスが突然登場した」という週ではありませんでした。
しかし業界全体で見ると、かなり重要な一週間です。
とくに注目したいのは、ニコンがRED買収後の構想を、ZRだけで終わらせずレンズ・ファームウェア・アプリまで含めたシステムへ広げ始めたこと。
9本ものZマウントシネマレンズを一度に開発すると発表した事実は、今後のニコンの方向性を見るうえで無視できません。
一方、純粋に写真を楽しむユーザーなら、9月18日のXF400mmF4.5、9月30日のSigma 85mm F1.2と20-60mmも要注目です。
そして今週からオランダ・アムステルダムではIBC 2026も開催されています。今後さらに映像関連の発表が続く可能性があるため、9月中旬の動きは引き続き追っておきたいところです。
初めてカメラを選ぶ人へ
「2025年版|子どもの行事に初カメラデビュー。失敗しないミラーレス選びの考え方」
カメラ選びの基準を、用途別に整理しました。

参照情報(出典整理)
ニコン「NIKKOR Z CINEMA T1.9 VV」シリーズ開発発表
ニコン公式|シネマレンズシリーズ「NIKKOR Z CINEMA T1.9 VV」計9本を開発
ニコン ZR ファームウェアVer.2.00開発発表
ニコン公式|「ニコン ZR」用ファームウェアVer.2.00を開発
Sigma 85mm F1.2 DG | Art
Sigma公式|85mm F1.2 DG | Art 発売情報
Sigma 20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary
Sigma公式|20-60mm F2.8-4 DG | Contemporary 発売情報
FUJINON XF400mmF4.5 R LM OIS WR
富士フイルム公式|XF400mmF4.5 R LM OIS WR 新発売
GFX ETERNA 55専用EVF「VF-GFXC2」
富士フイルム公式|VF-GFXC2発表
ETERNA ProRemote
富士フイルム公式|ETERNA ProRemote提供開始
EOS R1 ファームウェアVersion 1.3.2
Canon公式|EOS R1 Firmware Version 1.3.2
EOS R5 Mark II ファームウェアVersion 1.3.2
Canon公式|EOS R5 Mark II Firmware Version 1.3.2

